加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所ブログ

標準報酬月額の決定および改定について!-加古川・姫路の社会保険労務士事務所- (月, 08 5月 2023)
標準報酬月額の決定および改定について  毎月の給与から控除されている社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は、給料(報酬)の金額を一定の幅で区分した標準報酬月額をもとに計算されています。対象となる報酬は、基本給、残業手当、通勤手当、家族手当など、労働の対象として事業所から現金または現物で支給されるもので、標準報酬月額の区分は、健康保険では1等級(5万8千円)から50等級(139万円)、厚生年金保険は1等級(8万8千円)から32等級(65万円)となっています。 標準報酬月額の決め方には、資格取得時決定、定時決定、随時改定、育児休業等終了時の改定、保険者決定とありますが、今回は、定時決定と随時改定について記載します。  ◆定時決定(算定基礎届)  年に1度、7月に実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう見直し、1年間の社会保険料を決定します。手続きは「算定基礎届」によって行うこととなっていて、届出用紙は6月中旬以降に事業所あてに送付され、7月10日までに提出する必要があります。 ・算定方法  7月1日時点の全被保険者につき、4月、5月、6月に支払われた3か月分の報酬の総額から、1か月の平均を計算し、標準報酬月額の等級にあてはめ、決定します。                                    日本年金機構HPより  ・提出対象者  7月1日時点で健康保険・厚生年金保険の被保険者である方で、以下に該当する方を除く。(1)6月1日~7月1日に資格取得した方   ※資格取得時決定の対象 (2)7月~9月に標準報酬月額の改定が行われる方   ※随時改定の対象   ◆随時改定(月額変更届)  被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します(随時改定)。固定的賃金とは、基本給や資格手当等の毎月固定で支払われる賃金で、一方、毎月変動する時間外手当等は非固定的賃金と呼びます。随時改定を行うのは、固定的賃金に変動があったとき、時給から月給等、給与体系の変更があったとき、手当を新設したとき等です。随時改定は、下記の3つの要件を全て満たす場合に行います。 ・要件 (1)  昇(降)給等により固定的賃金に変動があった。 (2)  変動月から3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。 (3)  3カ月とも支払基礎日数が17日以上である。  支払基礎日数とは、報酬の基礎となる日数のことで、日給、日給月給の場合は出勤日数、完全月給の場合は暦日数となります。また、月平均所定労働日数をもとに欠勤控除を行う場合は、月所定労働日数から欠勤日を引いた日数となります。 上記(1)∼(3)全ての条件を満たした場合、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4カ月目(例:4月に支払われる給与に変動があった場合、7月)の標準報酬月額から改定されます。 ※次の場合には、随時改定の対象とはなりません 固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定賃金が減ったため変動後3カ月平均が2等級以上の差が生じた。 固定的賃金は減ったが、残業手当等の非固定賃金が上がったため変動後3カ月平均が2等級以上の差が生じた。 ・随時改定後の適用期間 改定月1月~6月の場合 その年の8月まで 改定月7月~12月の場合 翌年の8月まで ▼以下、日本年金機構HP https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/index.html 1012 加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務
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福利厚生として確定拠出年金について②-加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所- (Wed, 26 Apr 2023)
◆「企業型DC」  企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。 企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入できるかどうかを選択できる場合(選択型企業DC)があります。  事業主掛金は全額損金計上でき、掛金に対する所得税・住民税・社会保険料の対象にもなりません。   またiDeCoと同じく運用益は非課税で再投資され、受給の際も年金の場合は「公的年金控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。   ただし従業員に対する投資教育や、運営管理機関との契約など、企業が実施しなければならないことも多く、規模の小さい会社にとって、企業型DCはハードルが高い面もあります。   ◆「iDeCo+(イデコプラス)」  iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)は、従業員が加入するiDeCoに、事業主が上乗せして拠出するもので、従業員300人以下の中小企業向けの制度です。  iDeCo+では、従業員に対する投資教育や、運営管理機関との契約は必要なく、より負担が少なく利用できる制度となっています。 事業主掛金は企業型DCと同様に全額損金計上でき、税金・社会保険料の対象となりません。運用時、受給時の税制メリットも同様に適用されます。 ▼以下、iDeCo公式サイト https://www.ideco-koushiki.jp/ ◆まとめ 事業主にとって、人材の確保と定着率の向上は常に課題となっています。従業員がより長く、安心して働き続けられるためにも、福利厚生の一環として制度の導入を検討してはいかがでしょうか。 1012 加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務
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福利厚生として確定拠出年金について①-加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所- (Wed, 26 Apr 2023)
大企業と比べ中小企業では、福利厚生の充実が、どうしても後回しになりがちです。しかし就職・転職活動時に多くの方が重視する項目です。今回は福利厚生を充実させる施策の一つとして、従業員が加入する「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」に、事業主が上乗せして拠出する中小企業向けの制度「iDeCo+(イデコプラス)」などの確定拠出年金について記載します。 ◆確定拠出年金とは  確定拠出年金は、拠出した掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度で、掛金を加入者自身が拠出するiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)と、事業主が拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)があります。 ◆「iDeCo(イデコ)」  iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は確定拠出年金法に基づき60歳以降に公的年金にプラスして受け取ることができる私的年金で、加入中および給付を受けるときに税制上の優遇措置が講じられています。 ◆iDeCoの3つの税制メリット (1)加入者の掛金が全額所得控除の対象となり、 所得税・住民税が軽減 (2)運用益も非課税で再投資される (3)年金の場合は「公的年金控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となり、受け取る際の控除が大きい                     1012 加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務
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従業員が入社する際の書類についてー加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所ー (Tue, 04 Apr 2023)
従業員が入社する際の書類について 令和5年度が始まり、新入社員を迎えられる事業所も多いと思います。今回は改めて入社時の必要書類などについて記載いたします。   ◆従業員に用意していただくものの1例 ・マイナンバー 社会保険や労働保険などの各種保険や税金の手続きに必要となります。扶養家族がいる場合は、本人以外に扶養家族のマイナンバーも必要です。マイナンバーは特定個人情報にあたるため、情報管理には注意が必要で、万が一漏洩した場合には罰則が課されます。 ・履歴書 住所、氏名(漢字・フリガナ)、生年月日、扶養者の有無、職歴の確認などに利用します。 ・健康診断書 労働安全衛生規則第43条により、常時使用する労働者を雇い入れるとき、医師による健康診断を行う義務があります。労働者が3か月以内に受けた健康診断の結果を証明する書面を提出する場合は、雇い入れ時の健康診断を省略することができます。 ・雇用保険被保険者証 雇用保険資格取得手続きに利用します。加入履歴があれば、パート・アルバイトなどでも雇用保険番号は付与されています。加入していたが番号が不明な場合、履歴書の職歴等を参考にハローワークで検索します。初めて雇用保険に加入する場合には、新たな番号の被保険者証が発行されます。 ・源泉徴収票 前職があり、入社した年の1月以降の収入がある場合に提出してもらいます。年末調整に必要となります。 ◆会社が用意して従業員に提出いただくもの ・扶養控除等申告書 税金の被扶養者の確認に利用します。社会保険の扶養の参考にも利用します。扶養者の有無にかかわらず必要となります。  ・雇用契約書もしくは労働条件通知書 労働基準法第15条第1項には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と規定されています。明示すべき事項は、以下の通りです。 (1)労働契約の期間 (2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準   (更新することがある契約の時) (3)就業の場所および従業すべき業務 (4)始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働  者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換 (5)賃金(退職手当等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給 (6)退職(解雇の事由を含む) (7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び退職手当の支払いの方法並びに支払いの時期 (8)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与その他これに準ずるもの並びに最低賃金額 (9)労働者に負担させるべき食費、作業用品等 (10)安全及び衛生 (11)職業訓練 (12)災害補償及び業務外の傷病扶助 (13)表彰及び制裁 (14)休職 この内(1)から(6)については書面の交付により明示が必要。((5)の昇給に関する事項を除く)以上の内容を記載したものが労働条件通知書で、雇用主が署名または記名押印し、従業員に交付するものです。内容はほぼ一緒ですが雇用契約書もあります。雇用契約書は雇用主と従業員が署名または記名押印し、双方が1部ずつ保管するものです。認識相違によるトラブル防止、合意確認のため、可能であれば雇用契約書を交わしておく方がよいと思います。 あわせて、社会保険、雇用保険加入の手続きもお忘れのないようお願いします。 1012 加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務
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労使(労働)慣行についてー加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所ー (Thu, 16 Mar 2023)
◆労使(労働)慣行について   労使慣行とは、企業社会一般又は当該企業において、一定の事実が相当期間にわたり継続して行われ、これに従うことが労使双方で当然とされている場合をいいます。例えば、退職金の支給に関し、退職金規程はないが、これまでわずかの例外を除いて退職者全員に退職金が支給され、支給基準も同一であった場合は、退職金支給の労使慣行が成立していると判示されています(宍戸商会事件・東京地判昭和48年2月27日)。 そして、労使慣行は、公序良俗や強行規定に反する場合は法的効力が認められませんが(法の適用に関する通則法第3条、民法第92条参照)、それ以外は法的効力が認められ、具体的には、労働契約の内容となったり、就業規則又は労働協約の解釈基準として、その内容を補充したり、具体化する役割を演じることになります。 そこで、見解は分かれるのですが、最近の裁判例は、労使慣行の成立には次の三つの条件を満たすことが必要との考えに立っています(東京中央郵便局事件・東京地判平成3年8月7日など)。 ①同種の行為又は事実が長期間反復継続して行われていること ②当事者がこれに従うことを明示的に排斥していないこと ③当該労働条件についてその内容を決定し得る権限を有し、又はその取り扱いについて一定の裁量権を有する者が、これに従うことを当然としている(これを規範と考えている)こと 【広島県雇用労働情報サイトわーくわくネットひろしま より】 ◆まとめ 皆さんの事業所においても、上記要件①~③を充たした場合、当事者が気付かないうちに労使慣行が成立してしまう可能性があります。 そこで、そのような労使慣行の成立を阻止するため、就業規則等に定めていない「今回限りの特別臨時措置」であったり、「事業所内の一部部門のみの暫定処理」を行う場合には、その旨を明確化した上、上記要件①~③を充たさないよう留意する必要があります。 仮に、事業所内にルール(就業規則等)がなかったり、あったとしても内容が不明確な場合、労使慣行が成立する可能性が高くなります。そのため、日々の事前防止策として、自社の就業規則等を整備し、労使慣行となり得るものを減らしていくことが肝要です。 もし、就業規則等の整備にお困りでしたら、ぜひ弊所へお声掛けください。事業所の秩序を維持するため、働きやすい職場として良い人材を確保するため、目的は様々ございますが、それぞれの事業所に適した就業規則等の作成をお手伝いさせていただきますので、何卒よろしくお願い致します。  1012 加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所
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